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6月24日 新世界創造

 明け方、二日ぶりにIWをのぞいた俺は、「世界の変貌」にわが目を疑い、そして狂喜した。「『V』によって支配された世界」どころの話ではない。そこには、Creatureによってつくりだされた初めての文明があったのだ。
 「V」の成長と進化を期待して行なった実験は「無敵因子」に予想を上回る「変化」を与えたらしい。別種と呼べるほどの様変わりを見せる「V」の行動形態の中で、俺をもっとも驚かせたのは他のCreatureを奴隷化し、道具として、食料として奉仕させていたことである。
 これはもちろん過去の常識をはるかに超えるできごとだ。IWの中で遭遇する別種の生き物同士には、かつて「喰うために戦う」以外の接し方などなかったのだから……。
 そして、さらに驚くべき発見もあった。「V」の奴隷の中には、俺が用意した覚えのない「新種」もいたのである。とても信じられない話だが、「無敵因子」はCreatureの品種改良まで実現させたのだ。
 見回せばIWのいくつかの区画が見たこともないようなもので覆われていた。「V」の奴隷の中には、地熱を直接エネルギー源として取り込むことですさまじい力を発揮するものもいるらしい。まったく独自の生態系を持ったあの「生き物」はどうやってつくりだされたものなのだろう……?
 いや、あらためて考えてみると、原理的にはそう難しい話ではないのかもしれん。各Creatureの性能を把握し、目的に応じて計画的に喰いあわせる。ただそれだけで、さまざまな能力を持った「新しい生物」が簡単に生まれることだろう。それは、俺たちが「卵」に因子を組み込むよりもよっぽど単純で効果的な方法だという可能性もある。
 ……しかし、「原理」が問題なのではない。もっとも驚くべきは、それを実現するほどに大局的な視点をCreatureが持ちえたということだ。「無敵因子」は新世界をつくりあげたのだ。それは、「V」が俺の手を離れて強く生きていると実感した初めての瞬間だった。
 ほんの四十六時間、俺が目を離していた間にいったいなにが起こったのだろう? 大量入植のあと、どのような変遷があってこんな世界ができあがったのか、さっそく明日にでも記録を調べてみることにしよう。

>>>6月25日