6月14日 セカンド・エリア、サード・エリア

 「道場」と呼ばれるSエリアでも、「無敵因子」の力は圧倒的だった。ここでは、いくつかのルールで縛られた一対一の戦闘が行われているが、俺のCreatureはルールの隙を突くような戦法を自ら編み出し、次々に敵を撃破していったのだ。
 なによりも特筆すべきは敵を選ぶセンスであろう。俺のCreatureは勝てない相手からは徹底的に逃げ、絶対に勝てる相手としか戦おうとしないのだ。
 そして、いざ戦闘になったときも、その戦い方には、まったく危ういところはなかった。それも当然であろう。「無敵因子」はCreatureに「戦いの前に下準備をする」ということを学習させていたのである。
 罠や道具を用いてSエリアの中とも思えないような戦法を繰り広げ、捕食と成長をくりかえしていった結果、俺のCreatureは十二時間とかからずサード・エリアへの通行パスを手に入れた。すなわち規定量の余剰エネルギーを蓄えることができたのだ。

 「分岐点」Tエリアでは、蓄えたエネルギーを使って「個体の増強」か「繁殖」を選択することができる。そして、それを決めた瞬間からCreatureは固有の名を持ち、IWにダイブするのだ。
 俺のCreatureは「繁殖」を選んだ。そして、俺が付けた名前は「V」。
 さあ、これからが本当のテストだ。IWには、さまざまな能力や特性を持ったCreatureが徘徊している。そして、なにより、IWそのものが過酷な環境なのだ。
 俺のCreatureはどうやって生き延びるのだろう? 「無敵因子」はどこまで「V」を生き長らえさせるのだろうか?

>>>6月18日