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6月21日 新天地へ

 IWは「V」を腐らせてしまう。結局はレベルが違いすぎたのだ。ここでの実験に意味を見いだせなくなった俺は、かねてよりの計画を実行に移すことにした。すなわち、「V」を育成する俺専用のInner Worldの創造である。
 公共のIWには、もちろん利点もある。管理に手をかける必要もないし、万人が認める規格の中での戦いはCreatureの能力を非常に判断しやすくしている。そしてなにより「他人の評価が得られる」という大きなメリットを失うのはいかにも惜しい。
 しかし考えてみれば、この程度の成長で得られる評価など、俺には必要ないものなのだ。多少規格から外れることになろうとも、見る者が見れば「V」の優秀性は正当に評価できることだろう。
 かつて勤めていた会社のメインコンピュータにゲストとして接続すると、俺はレンタルブロックの中に新たなIWを造り上げた。ここならば俺の意のままに、どんなに違法なシミュレーションも可能となる。俺は「V」のために、過酷な環境と強大な敵を擁する世界を用意してやった。周囲すべてが敵という苛烈な世界の中で「無敵因子」がどのような成長を遂げるのか、実に楽しみだ。
 公共IWでの「V」を終了させると、俺はそのデータを拾い上げた。これで他人も「無敵因子」の一端に触れることができるようになったわけだが、別に問題はあるまい。俺以上にこの因子を理解できる者などあるはずもないのだから……。
 「死体」のデータを元に「V」の純粋な複製を造り上げ、俺は新たな世界にそれを送り込んだ。今後は、この新天地での「無敵因子」の進化と成長を見守ることにする。

>>>6月22日